60年代には既存のキリスト教から脱却してヒンズー教や仏教、儒教などの東洋思想を取り入れて意識拡大を図ろうとする動きが広まりました。チベット仏教の『死者の書』、老子、禅、ヨガなどの経典がヒッピーの間でベストセラーになりました。同じように音楽の世界でもビートルズやツェッペリンに代表されるようにインド音楽に陶酔するような東洋思想への方向転換などが見られる。
またヘイト地区を中心したサイケデリック都市国家では商品を売るヘイト自営商店組合(HIP)を中心とする商人勢力、ドラッグ患者のための無料診療所、そしてディガーズの無料食料配布の本拠等の組織があり一つのコミューンを形成していました。
彼らは思想的には主として非政治的なアナーキストであり、自己とその仲間からなる小さな共同体の意識拡大と一体感(トゥギャザーネス)を求め、「Make love, not war」というキャッチフレーズ、弾圧しに来た州警察の銃口に花を挿したというエピソードがそれを象徴している。
ヒッピーの文化、思想、生活様式はコミューンに集約される。
彼らは決して各々が孤独なボヘミアンではなく、コミューンという共同体を組織し、その総数は71年には全米で約3000に上った。自分自身の意識拡大を目指し、「do your own thing」をモットーとする「隠遁型」「エデン指向型」と、トゥギャザーネスが目的の「奉仕型」「ユートピア指向型」に分類される。これは対抗文化の二つの主な特徴を最もよく表すものである。